メール作成プロンプト集|社内外・依頼・お詫びのテンプレート
メールの下書きをAIに頼んだのに、出てきたのは「平素は格別のご高配を賜り」から始まる、どこか他人行儀で長い文章。結局は自分で書き直したほうが早かった——そんな経験は少なくないはずです。特にお詫びや込み入った依頼のメールでは、AIの文章が実務に耐えないことがあります。
原因は、メールに必要な情報のほとんどがプロンプトに書かれていないことにあります。相手との関係性、これまでの経緯、こちらの立場、避けたい表現。これらを伝えれば、出力は大きく変わります。この記事では、社内・社外・依頼・お詫びの4場面について、そのまま使えるプロンプト例を紹介します。
この記事でわかること
- メール作成プロンプトに必ず入れるべき6つの情報
- 社内・社外で敬語のレベルを調整する具体的な指定方法
- 依頼メールで相手を動かすための構成の指定
- お詫びメールで炎上を避けるための表現ルールとプロンプト例
メールのプロンプトに入れるべき6要素
どの場面でも共通して必要な情報は、次の6つです。この6つを埋めるだけで、書き直しの量は大きく減ります。
- 相手:社内か社外か、役職、面識の有無
- 関係性:発注側か受注側か、力関係、過去のやりとりの温度感
- 目的:このメールで相手にしてほしい行動
- 経緯:直前までに何があったか
- 制約:字数、書いてはいけないこと、避けたい表現
- 締切と次のアクション:いつまでに何を返してほしいか
悪い例と良い例
同じ用件でも、情報量によって出力の質はまったく変わります。
プロンプト例
【悪い例】
納期が遅れそうなので、お客様に連絡するメールを書いてください。
【良い例】
取引先へ納期遅延を伝えるメールの下書きを作ってください。
# 状況
- 送信者: 私(受注側の営業担当、30代)
- 宛先: 取引先の購買担当者(課長、面識あり、これまで3年間トラブルなし)
- 用件: 納品予定日が当初の予定から5営業日遅れる見込み
- 遅延の理由: 部材の入荷遅れ(当社の見通しの甘さも一因)
- こちらの提案: 一部を先行して納品し、残りを5営業日後に納品
# 書き方の指定
- 全体400字以内。件名も作る
- 冒頭2文以内で遅延の事実を伝える(結論を後回しにしない)
- 言い訳がましくならないよう、理由の説明は1文にとどめる
- 「〜させていただきます」の多用を避ける
- 最後に、先方に判断してほしい点を1つだけ明示する
# 書かないこと
- 具体的な補償や値引きの約束(社内未承認のため)
- 責任の所在を仕入先だけに転嫁する表現
良い例で特に重要なのが「書かないこと」の欄です。メールは記録に残るため、AIが気を利かせて書いた一文が後で問題になることがあります。約束できないことは、明示的に禁止しておくのが安全です。
社内メール:短く、要件だけ
社内メールでAIを使うときの最大の注意点は、丁寧すぎる文章になることです。何も指定しなければ、社外向けのような格式で書かれてしまい、かえって読みにくくなります。
社内では「結論を最初に」「箇条書きを使う」「挨拶文は最小限」と指定するのが基本です。相手が読む時間を減らすことが目的だと明示しましょう。
プロンプト例
社内向けの連絡メールを作ってください。
# 状況
- 宛先: 他部署の担当者3名(同格、日常的にやりとりあり)
- 用件: 来月の月次レポートの提出フォーマットが変わることの周知
- 変更点: 提出先が共有フォルダからワークフローシステムへ変更
- 適用開始: 来月分から
# 書き方
- 200字以内。件名は20字以内で用件がわかるもの
- 1行目に結論(何が変わるか)を書く
- 変更点は箇条書きで3項目以内
- 時候の挨拶、「お世話になっております」は不要
- 敬語は「です・ます」まで。二重敬語や過剰なへりくだりは使わない
- 末尾に「不明点は私まで」と1行だけ添える
読む人が10秒で理解できることを最優先にしてください。
ポイント
「読む人が10秒で理解できること」のように、目的を一文で伝えると出力が引き締まります。細かいルールを10個並べるより、判断の基準を1つ与えるほうが効くことがあります。字数指定と組み合わせるとさらに安定します。
依頼メール:相手が動く構成にする
依頼メールで反応が悪いときは、たいてい「何をいつまでにしてほしいか」が読み取りにくくなっています。丁寧に書くほど用件が後ろに埋もれるためです。
構成そのものを指定してしまうのが確実です。「用件→背景→依頼内容→期限→相手の負担軽減策」の順に固定すると、読み手が迷いません。相手の負担を減らす一文を最後に入れる指定も効果があります。
もう一つ忘れがちなのが、期限に理由を添えることです。「金曜までにお願いします」だけでは、相手にとってこちらの都合にすぎません。「翌週の社内審査に間に合わせるため」と一文添えるだけで、優先度の判断材料になります。プロンプトに「期限の理由を必ず書く」と入れておきましょう。
プロンプト例
社外の協力会社へ、資料提出をお願いするメールを作ってください。
# 状況
- 宛先: 協力会社の担当者(面識あり、こちらが発注側)
- 依頼内容: 次回提案に使う実績データ3件分の提出
- 期限: 今週金曜の18時まで
- 相手の状況: 繁忙期で余裕がないと聞いている
# 構成(この順番で固定)
1. 用件(1文)
2. なぜ必要か(1〜2文)
3. 具体的に提出してほしいもの(箇条書き、3項目)
4. 期限と、その理由
5. 相手の負担を減らす提案(形式は問わない、一部だけでもよい 等)
# 書き方
- 350字以内
- 発注側であることを意識し、高圧的にならない表現を選ぶ
- 「お忙しいところ恐縮ですが」は1回だけ使用可
- 期限に触れる際、相手が難しい場合の代替案を必ず添える
お詫びメール:型を守り、余計なことを書かない
お詫びメールは最も慎重さが求められます。AIが生成しやすい失敗は、過剰な謝罪、原因の曖昧な説明、そして権限のない約束です。
基本の型は「謝罪→事実→原因→対応→再発防止→再度の謝罪」です。この順序を指定し、各項目の字数を決めると、感情的にも構造的にも安定した文面になります。
場面ごとに、指定すべきポイントは次のように変わります。
| 項目 | 社内連絡 | 依頼メール | お詫びメール |
|---|---|---|---|
| 目安の字数 | 150〜250字 | 300〜400字 | 350〜500字 |
| 敬語のレベル | です・ます中心 | 標準的な敬語 | やや丁寧め |
| 結論の位置 | 1行目 | 1文目 | 謝罪の直後 |
| 特に指定すべき点 | 挨拶文の省略 | 期限と代替案 | 書かないことの明示 |
| 人の確認 | 軽く見直す | 期限と条件を確認 | 必ず上長の確認を通す |
プロンプト例
取引先へのお詫びメールの下書きを作ってください。
# 状況
- 用件: 請求書の金額に誤りがあり、実際より2万円多く請求していた
- 発覚経緯: 先方からのご指摘で判明
- 原因: 当社の入力ミス(担当者の確認漏れ)
- 対応: 訂正した請求書を本日中に再送、差額は次回請求で調整
# 構成(この順番、各項目1〜2文)
1. お詫び
2. 何が起きたかの事実
3. 原因(曖昧にせず、簡潔に書く)
4. 具体的な対応と、その時期
5. 再発防止策(実行できる範囲で具体的に)
6. 結びのお詫び
# 書き方のルール
- 400字以内。件名も作る
- 「大変申し訳ございません」は冒頭と末尾の2回まで
- 原因説明で他部署・システム・先方に責任を寄せる表現は使わない
- 「二度と起こしません」など、断定的で守れない約束は書かない
- 補償・返金の条件には触れない(社内未承認のため)
社内確認用に、この文面で法的・契約的にリスクがありそうな表現があれば
本文の後に指摘してください。
注意
契約不履行や損害が発生している場合のお詫びメールは、書き方によって責任の認否と受け取られることがあります。金銭的な影響が想定されるケースでは、送信前に上長および法務担当、必要に応じて弁護士へ確認してください。AIの出力を根拠に判断しないことが原則です。
自分の書き癖に寄せる
AIの文章がどこか浮いて見えるのは、自分の普段の文体と違うためです。過去に送った自分のメールを2〜3通渡し、「この文体に合わせてください」と伝えると、違和感がかなり減ります。よく使う締めの一文や、避けている表現も一緒に伝えておくとよいでしょう。
- 自分のメールを3通ほど貼り、特徴を分析させてから書かせる
- 使わない表現(「取り急ぎ」「〜になります」など)をリスト化して渡す
- 署名や定型の締め文は自分のものを渡し、変更を禁止する
一度うまくいったプロンプトは、状況の欄だけを空にしてテンプレートとして保存しておきましょう。次回からは用件を差し替えるだけで済みます。社内・依頼・お詫びの3種類をそろえておけば、日常のメールのほとんどをカバーできます。
よくある質問
Q. 敬語が過剰になるのを防ぐには?
A. 「二重敬語を使わない」「『〜させていただく』は全体で1回まで」のように、回数で制限すると効果的です。抽象的に「簡潔に」と伝えるより、具体的な禁止表現を挙げるほうが確実に反映されます。
Q. 取引先の名前や案件名を入力しても大丈夫ですか?
A. 利用サービスのデータ取り扱い方針と社内ルールの確認が必要です。不安がある場合は、社名を「A社」、金額を「◯万円」などに置き換えて下書きを作り、送信前に自分で実際の情報に差し替える運用が安全です。
Q. お詫びメールをAIに書かせるのは失礼ではないですか?
A. 下書きの作成に使うこと自体は問題ないと考えられます。重要なのは、内容を自分で確認し、責任を持って送ることです。事実関係と約束事項は必ず自分で点検し、そのまま送信しないでください。
Q. 長いメールを短くしたいときは?
A. 「300字以内に」と字数を指定したうえで、「削った内容を箇条書きで報告して」と加えてください。削られた中に必要な情報があれば戻せます。字数指定だけだと、重要な条件が消えていることに気づきにくくなります。
Q. 英文メールにも同じ考え方が使えますか?
A. 6要素を伝える基本は同じです。加えて、相手の国や業界での慣習、フォーマルさの度合いを指定するとよいでしょう。ただしニュアンスの微妙な誤りは自分では気づきにくいため、重要な場面では英語に明るい人の確認を挟んでください。
まとめ
メール作成でAIをうまく使う鍵は、相手・関係性・目的・経緯・制約・締切の6要素を書くことです。そして場面ごとに、構成と字数、そして「書かないこと」を指定します。特に「書かないこと」の指定は、記録に残るメールでは安全装置として機能します。
社内メールは短さを、依頼メールは相手が動ける構成を、お詫びメールは型と抑制を重視してください。いずれの場合も、AIが作るのは下書きまでです。事実関係と約束事項は自分で確認し、影響の大きい文面は上長や専門家の確認を通してから送信しましょう。
- 相手・関係性・目的・経緯・制約・締切の6要素をプロンプトに書く
- 社内メールは挨拶を省き、結論を1行目に置くよう指定する
- 依頼メールは構成を固定し、期限の理由と代替案を必ず入れる
- お詫びメールは「書かないこと」を明示し、送信前に人が必ず確認する